日本株10%ルールとAI活用術|GICS分類・逆張りセクター投資をChatGPTで仕組み化する方法

日本株を総資産の10%に抑える理由

私のポートフォリオでは、日本株の上限を総資産の10%と決めています。
この10%には深い理屈があるわけではなく、感覚的に「扱いやすい比率」だったというのが正直なところです。

ただ、背景には一つの考えがあります。
日本で暮らし、給料や年金といったキャッシュフローはすべて円でもらう。
つまり私は、すでに「円のキャッシュフロー」を持っているとも言えます。

そのうえで、資産全体では ドル建てキャッシュフローを強化したい と考えています。
日常生活は円で完結しますが、将来の資産形成ではドル資産が安心材料となるからです。

では、円3割をどう配分するか。
私はここを
-J-REIT 10%
-現金 10%
-日本株 10%
と三等分するイメージで見ています。
現金比率が現状5%前後で、この理想形に届く日は来ないかもしれませんが、あくまで「目安」として扱っています。

また、日本株は単元未満株で運用しているため、細かいリバランスが可能です。
単元株だと大きな資金が必要ですが、現在の入金力では現実的ではありません。
その意味でも「日本株10%前後」は、無理なく続けられる現実的なラインになっています。

GICS分類をAIに任せている理由

日本株をセクター別に整理するためには、正確なGICS分類を知る必要があります。
しかし、公式のGICSデータは Bloomberg や FactSet などの有料サービスに限られており、個人投資家がこのためだけに契約するのは現実的ではありません。

私は日本株の保有比率を総資産の10%以内に抑えており、銘柄ごとの“誤差”が全体に与える影響は軽微です。
そのため、GICS分類については ChatGPT に「公開情報から推定してもらう」という運用をしています。

もちろん生成AIにはハルシネーションのリスクがあります。
ですが、私の運用ルール(日本株=10%、単元未満株運用)では、多少の誤差があってもリスクは限定的です。
むしろ、迅速にセクター全体の偏りを把握できるメリットのほうが大きいと考えています。

実際に使っているプロンプト(コピペで再現できます)

以下は、実際に私が GICS を調べるのに使っているプロンプトです。

このプロンプトは、そのままコピペして ChatGPT で実行できるようにしています。
実際に実行すると、ChatGPT は次のように分類を推定してくれました。

(例:4619 日本特殊塗料の場合)

  • Sector:Materials(素材)
  • Industry Group:Chemicals(化学)
  • Industry:Specialty Chemicals(機能性化学品)
  • Sub-Industry:Specialty Chemicals(機能性化学品)

ChatGPT は、自動車向けの防音材・塗料が主力であるため「素材(化学)」寄りの企業であると解釈し、GICSの分類思想として最も自然だと推定しました。
一部の金融サイトでは「自動車部品」として扱われるケースもあるため、こうした“複数候補を示す”スタイルはハルシネーション対策として非常に有効です。

私はこの結果を Google スプレッドシートに取り込み、セクターごとにタブを分けて保有銘柄を一覧化しています。
そのうえで、各セクターの時価評価額を可視化し、偏りをチェックしています。

ChatGPT を使うメリットは、「調査の高速化」だけではありません。
手作業では時間のかかる分類作業を数秒で片付けられるため、私はその分の時間を“銘柄分析の深掘り”や“資産全体の調整”に使うことができます。

不調のセクターから買い増す理由

日本個別株への投資では、私はまず「どのセクターを増やすか」を先に決めています。
そのとき基準にしているのが、Googleスプレッドシートで算出している「セクター別の時価評価額」です。

シートでは、保有銘柄をGICS分類ごとにタブ分けし、それぞれのタブで時価評価額の合計を自動計算しています。
さらに、まとめ用タブを作り、全セクターの時価評価額を一つの表で比較しています。

この一覧を高い順に並べたとき、もっとも下に来る “不調なセクター” から買い増すようにしています。

理由はシンプルで、セクターごとに「好調な時期と不調な時期」が波のように入れ替わるからです。
一つのセクターだけが永久に割安のまま放置され続けることは少なく、時間が経つと相場の温度感が変わり、評価が戻ることがよくあります。

私は専門的な知識を持っているわけではありません。
ただ、自分の感覚として、「30年後から見たら、今の株価はどれも安く見える」という考え方が根底にあります。

だからこそ、不調なセクターは“相対的に今が買いやすい”と判断しています。
そして、単元未満株で細かい調整ができる今の自分にとって、この方法が一番無理なく続けられる形だと感じています。

割安スクリーニングの基準と調整方法

日本株に投資すると決めたとき、私は資金を二つに分けています。

  1. 半分は、不調セクターの中で保有している銘柄を買い増す
  2. もう半分は、セクターを問わず「割安で魅力的な銘柄」を探す

不調セクターだけに拘ると、お得な銘柄を拾いづらい。
逆に、お得な銘柄だけを追うと、セクター比率が崩れてしまう。
この二本を同時に満たすために、この方法に落ち着きました。

スクリーニングで使っているのは、次の基準です。

  • 配当利回り 3.5%以上
  • 配当性向 30〜60%
  • 自己資本比率 60%以上
  • PER 10以下
  • PBR 1以下
  • 騰落率 1週間で1%以上下落

まずは「買ってはいけない企業を除外する」のが目的です。

ただし、この条件のままだと候補が極端に少ないことも多い。
そのため、最低でも10銘柄くらい が出るまで基準を緩めていきます。

スクリーニング後は、配当利回りの高い順に並べ、上位から5〜6銘柄を重点的に確認します。
ここで“良い銘柄”が見つかれば絞り込みは終了します。
しかし、条件を満たす企業が見つからない場合は、さらに下位の銘柄も順番に確認していきます。

この作業を繰り返し、「Deep Researchを行うに値する候補」が見つかるまで粘り強くチェックします。

候補が 50銘柄以上 のように膨大になった場合は、利回り基準などを厳しくして絞り直しますが、そうしたケースはVIX指数が大きく跳ねない限りあまり多くありません。

どう基準を動かすかは、相場の状況とそのときの感覚に依存しています。
しかし、「長期で持てるか」「配当が無理なく続くか」という軸だけは必ず守っています。

さらに、スクリーニングを通過した銘柄については、数字に現れない部分も確認します。

  • 過去の配当履歴(減配傾向かどうか)
  • フリーキャッシュフロー(配当の源泉)
  • 海外展開の有無(セクターによって重要度が変わる)

FCFは特に重要で、ここが赤字続きなら投資対象にはしません。

スクリーニングは便利ですが、数字だけでは企業の全体像は見えません。
そのため最後は、人間の目とChatGPTのDeep Researchを併用し、企業の“中身”を理解したうえで最終判断を下しています。

最終判断は「数字 × 人間の目 × AI」で決めている

スクリーニングで候補を絞った後、私は必ず「数字だけで判断しない」というルールを守っています。

理由は、自分が働いてきた職場経験から強く感じていることがあるからです。

──報いてくれない会社に、報いる必要はない。
──そんな会社に貢献したいとは思わない。
──貢献したいと思わない会社が、発展するわけがない。

数字が良くても、“働く人が雑に扱われている会社”には未来がありません。
逆に、待遇・環境・文化が整っている企業は、社員の定着率が上がり、技術も積み重なり、長期で強くなると考えています。

だから私は、数字の裏側にある「企業の内側」も重視します。

  • 過去の配当履歴(約束を守る会社か)
  • フリーキャッシュフロー(配当の源泉が健全か)
  • 海外展開の有無(日本の少子高齢化を超えられるか)
  • 口コミ・評判・離職率(働く人が大切にされているか)

この中でも、従業員の待遇や社内文化は、スクリーニングだけでは絶対に分からないポイントです。

そこで活用しているのが「ChatGPTのDeep Research」です。

Deep Researchを使うと、証券会社のデータベースでは分からない“現場の声や文化”まで含めて企業像を立体的に把握できます。

  • 労働環境はどうか
  • 昭和気質か、改革が進んでいるか
  • 新卒や若手が育つ文化か
  • 海外売上比率の背景にどんな戦略があるか

こうした情報を効率よくまとめてくれるのが、AIの強みです。

もちろん、最後の判断は人間である私が行います。
AIが出してくれた情報を読み、「この企業に長期でお金を預けたいか?」
「この企業は、働く人を大切にしているか?」
自分の価値観で判断して、購入するかどうかを決めています。

数字、現場感、AI分析。
この三つを組み合わせることで、“私らしい日本株投資” の形が完成しています。

おわりに

この記事では、日本株10%ルールから、GICS分類の扱い、セクター逆張り、割安スクリーニング、AI分析の活用法までをまとめました。

数字・感覚・AIを組み合わせることで、自分の軸を持ちつつ、無理なく長期で続けられる投資ができると感じています。

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