
導入文
「景気は循環する」「景気局面によって強いセクターがある」
投資をしていると、こうした言葉を何度も目にします。
私自身も、以前からそのような認識は持っていました。
ただ、いざ記事として書こうとした時、自分がそれを理屈で説明できないことに気づきました。
漠然と分かったつもりになっていただけで、実は理解が浅かったのです。
記事を書く以上、自分がきちんと理解している必要がある。
それがこの記事を読む人に対する最低限の礼儀と誠意。
そう考え改めて景気循環と景気局面について学び直しました。
この記事では
・景気はなぜ循環するのか
・なぜ景気局面ごとにセクターの強弱が生まれるのか
を、「予測」ではなく「構造の理解」という視点で整理します。
下落局面を過度に恐れず、上昇局面に期待しすぎないために。
景気循環を「当てに行くもの」ではなく、「理解して付き合うもの」として捉え直すための記事です。
第1記事 GICS分類で整える投資管理|日本株と米国株を“同じ地図”に置くという考え方
第2記事 日本株10%ルールとAI活用術|GICS分類・逆張りセクター投資をChatGPTで仕組み化する方法
第3記事 景気循環と景気局面を理解する|なぜセクターの強弱が生まれるのか
なぜ景気循環を学び直す必要があったのか
この記事を書こうと思った時、まず感じたのは自分が扱おうとしているテーマを本当に理解しているのか、という疑問でした。
景気循環や景気局面という言葉自体は、以前から知っていました。
しかし、それを誰かに説明しようとすると、言葉に詰まります。
「なぜそう言えるのか」
「どこまでが一般論で、どこからが解釈なのか」
その境界が曖昧なままでは、納得感のある文章は書けません。
だからこそ、改めて学ぶ必要があると感じました。
学び直したことで、単なる知識としてではなく、構造として景気を捉えられるようになった感覚があります。
景気はなぜ循環するのか
ここでは、景気循環の細かな分類を網羅するのではなく、「なぜ循環が起きるのか」という全体像だけを整理します。
景気が循環する理由の一つは、経済活動が同時に一斉に動くわけではない、という点にあります。
生産、投資、雇用、消費、金融条件。
これらは相互に影響し合いますが、動くタイミングにはズレがあります。
需要が回復しても、企業がすぐに設備投資や雇用を増やすとは限りません。
逆に、需要が落ち始めても、しばらくは過去の受注や投資が残ります。
こうした時間差が積み重なることで、景気は直線ではなく、循環する形を取ると整理できます。
感情や期待が影響する場面もありますが、それだけではなく、構造的な理由が背景にあると考えられます。
景気局面とセクターの強弱が生まれる理由
景気が循環する過程では、いくつかの局面に分けて考えることができます。
回復期、好況期、後退期、加熱期といった区分は、その一例です。
重要なのは、どの局面でも同じセクターが強いわけではない、という点です。
経済活動には順番があります。
その順番に応じて、先に恩恵を受ける分野と、後から影響が出る分野が分かれます。
例えば回復期では金融環境の改善が先行しやすく、資金調達や信用に関わる分野が相対的に動きやすくなります。
一方で、設備投資や雇用の拡大は景気回復がある程度確認されてから動くことが多く、時間差が生まれます。
このように、「どの経済活動が先に動くか」という順序が、局面ごとのセクター強弱として表れます。
ここでの強弱は、絶対的な優劣ではありません。
あくまで、同じ局面内での相対的なものです。
そして、その強弱は固定されたものではなく、景気の循環とともに入れ替わっていくと整理できます。
景気の影響を受けにくい4つのセクター
ここまで述べてきた循環の構造には、すべてのセクターが同じように当てはまるわけではありません。
一般に、生活必需品、公益、ヘルスケア、通信といったセクターは、景気の影響を受けにくいとされています。
ただし、「影響を受けにくい」というのは、まったく変動しないという意味ではありません。
これらのセクターは、景気の良し悪しとは別の理由で、一定の需要が存在する分野だと整理できます。
景気に左右されにくいというより、経済活動の土台に近い役割を担っている。
そう捉えた方が実態に近いと感じました。
循環するセクターと、循環しにくいセクター。
この違いを意識することで、景気全体の見え方はより立体的になります。
これは強い・弱いという評価ではなく、景気循環との距離感が異なる、と捉える方が近いと感じました。
自作した景気循環×セクター図の読み方

この図は、ここまで整理してきた景気循環、景気局面、セクターの強弱の関係を、一枚で俯瞰するために作成しました。
図の基本ルール
・景気局面は時計回りに進行する
・図の外側に行くほど、その局面で相対的に強い
・内側に行くほど相対的に弱い
・色は相対的な強弱の段階を示す補助情報
景気局面は、回復から拡大、そして減速を経て再び回復へ向かう流れを、視覚的に追えるよう配置しています。
位置については、上下ではなく「外側と内側」に意味を持たせました。
初期案では「上に行くほど強い」という表現も考えましたが、後退期や加熱期では誤解を生むと感じたためです。
結果として、
回復期・好況期では上に行くほど強く、
後退期・加熱期では下に行くほど強くなり、
全体として
「外側=強い、内側=弱い」
という一貫した構造にしています。
左右の位置には、時間の経過や経済活動の順番を反映しています。
どの活動が先に動き、どれが遅れて動くのか。
その時間差を意識して配置しました。
また、この図には、強いセクターだけでなく、相対的に弱いセクターもあえて載せています。
景気循環を理解するうえでは、強い部分だけを見るよりも、弱くなっている部分も同時に把握した方が、全体像を誤解しにくいと考えたためです。
この図は、将来を予測するためのものではありません。
相場を当てに行くための図でもありません。
景気循環とセクターの関係を整理し、冷静に状況を考えるための補助線として使うことを想定しています。
結論
景気は循環し、景気局面によって相対的に強いセクターと弱いセクターが入れ替わります。
それは偶然ではなく、経済活動の順番や時間差によって生まれる構造だと整理できます。
この構造を理解することは、相場を予測するためではありません。
感情に振り回されず、景気の上下と付き合うための準備だと思います。
次に経済ニュースを見た時、
「この動きは、景気循環のどの位置にあるのだろうか」
と一度立ち止まって考えてみる。
それだけでも、下落局面の見え方は少し変わるかもしれません。
次回予告
今回は、景気循環と景気局面、そしてセクターの強弱が生まれる理由を、全体像として整理しました。
学び直していく中で特に印象に残ったのは、景気が循環するという枠組みの中にも、必ずしも同じ振る舞いをしないセクターが存在するという点でした。
次の記事では、そうした景気の影響を受けにくいセクターについて、なぜ例外的な位置づけになるのかを、もう少し丁寧に整理してみたいと思います。









